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2007年10月14日

知っていますか「減価償却のおもしろい作用」!!

減価償却の自己金融作用
(キャッシュの動きと減価償却の関係)


 今回は、減価償却の「自己金融作用」について取り上げますが、その前に、「減価償却制度の目的」について簡単に触れてみたいと思います。

◆ 減価償却制度の目的等
 有形固定資産の多くは、時の経過や使用とともに、徐々にその本体及び機能が消耗しますから、このような資産を取得するために要した費用を取得した事業年度のみの経費とすることは合理的ではないと考えられています。このような取得費については、その資産を利用することによって得られる収入に対応させる形で、その資産が使用される各期間にわたり、費用として配分する必要があります。
(固定資産に投下された資金は、それを利用して得られる収入を通じて、現金、預金、売掛金などの流動資産に変化することから、固定資産の流動化とも呼ばれます)。
 このように、有形固定資産の取得原価を、その使用できる各期間に規則的に配分するとともに、その分、資産の取得原価を減少させる会計上の手続を減価償却といいます。
 減価償却の目的は、その資産の使用可能期間に応じて、費用(減価償却費)を適正に配分することによって、各期の損益計算を正確に行うことにあります。
 特に、原価計算制度を採用している製造業においては、減価償却が適正に行われるかどうかによって損益計算などに与える影響が大きくなります。減価償却費が正しく計算されないとすると、製品の製造原価も正しく計算されないこととなります。

◆ 減価償却制度の特徴
 このような減価償却制度には、「自己金融作用」と呼ばれる特徴があります。
 減価償却費は、これを計上することによって、損益計算書上の利益を減少させますが、キャッシュの動きを伴わないことから、その分だけ資金が企業内に留保されることとなります。これが「自己金融作用」と呼ばれるものです。

 このことを、キャッシュ・フローの観点から説明します。

◆ 減価償却とキャッシュ・フロー
 キャッシュ・フローとは現金・預金の流れを指しますが、損益計算書上の利益とキャッシュ・フローは長期的には一致しますが、短期的には一致しないのが普通です。
 利益とキャッシュとの間に相違をもたらす主な項目には、工事未収入金、棚卸資産、未払金などがあります。期末棚卸資産(商品、材料、貯蔵品など)は、その購入時には、キャッシュが出ていきますが、会計上はその期の費用として認識されません。
 そのほか、借入金(借入による資金調達時にキャッシュは増加しますが、収入には計上されません。借入金の返済も同様にキャッシュは出ていきますが、経費とはなりません。)なども利益とキャッシュとの間に相違をもたらす項目として挙げられます。

 減価償却費も同様に、会計上、経費として計算されますが、キャッシュの動きはありません。建物、備品等を購入した際、キャッシュは出ていきますが、資産の取得となるために、全額は経費となりません。

◆ キャッシュ・フロー計算例
 次の設例のような企業があったとします。
【設例】
・ 税引前当期利益  1,000万円 
・ 減価償却費300万円(他に未収・未払等のキャッシュに影響を与える項目はないものとします)
・ 実効税率 40%  400万円
・ 借入金返済額年間  600万円

税引前当期利益   + 1,000万円
減価償却費      +  300万円(計算上のみの経費)
借入金返済額     △  600万円
法人税等支払額   △  400万円
差引キャッシュ額   +  300万円

◎この企業の場合、1,000万円の利益が出ていますが、キャッシュでいくら残っているかを計算すると上記のとおり300万円となります。
 未収、未払がないという前提ですから、利益として残った1千万円を、借入金の返済(600万円)と法人税等の支払(400万円)に充てると、キャッシュは0となります。しかし、減価償却費は計算上算出される経費であり、実際に現金の動きはありませんから、その分、キャッシュが残ることになります。
 また、減価償却費の40%部分については、法人税等の負担が軽くなっているということもいえます。
 このように、300万円については、収入としては計上されていないにもかかわらず、いわば借入による資金調達をしたと似たような形でキャッシュが残ることから、減価償却に「自己金融作用」があるといわれる理由です。

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